1973年、安藤和男(現 協和資材 代表取締役)が脱サラし設立。
サラリーマン時代は機械商社に勤め、プラスチックに関しては全くの素人であった。
弊社が設立された当時、プラスチックリサイクルと言えば 成型工場などで発生する成型不良等の 所謂 “工程内廃棄品の再生加工”を指しており、
プラスチック製品を市場から回収しそれをリサイクルし再資源化して市場に戻す現在のシステムは殆ど無かった。
弊社が、当時のリサイクル業者と一線を画した事業を展開した背景には、バッテリー工業会からの要請に負う所が大きい。
当時、自動車のバッテリーケースがエボナイトからポリプロピレンに変わり、そのケースのリサイクルを工業会から当社に要請。
バッテリーの中に入っている鉛の回収・リサイクルに関しては、以前よりそれが確立されていたが、
ケースの回収・リサイクル・再資源化に関しては、以下に述べる通り 多くの問題が有り困難を極めていた。
使用済みバッテリーケースは泥汚れが激しく、又、ケースの中には希硫酸や酸化鉛が残留している。
そこで、当社は日本初の“洗浄粉砕装置”を開発。これは、字の如く 粉砕機の中でプラスチックを洗浄しながら粉砕をする装置である。
当時、プラスチックを水で濡らすと言う事は誠に非常識な事であり、また、機械の中に水を入れてしまう事はこれも、
機械装置の業界からしたら誠に非常識な事であった。更には、硫酸・酸化鉛を粉砕機に入れて粉砕をする事は、
機械の消耗を早め結果、機械として全く成り立たないと、殆どの機械メーカーに製作を断られた。こうした経緯から、
独自に洗浄粉砕機を作り 稼動させた所、懸念していた事は全く起こらず、理論値以上の結果をもたらす事に成功。
この洗浄粉砕機は今や、リサイクル業界の常識となっている。
飲料メーカー各社の使用済みケース・各ビールメーカーの使用済みケースを回収し、“コンテナ to Newコンテナ”、
“コンテナ to Newプラスチックパレット”に再生させる事業の為に、前述洗浄粉砕装置が大きな役割を担い、弊社の飛躍の礎を担った。
また、弊社の名前と洗浄粉砕装置が全国的に知られたのも、この洗浄粉砕機が高く評価されたことに起因する。
飲料・ビールのケースは長期間使用され、商品が入っていない時は、屋外で保管される場合が多い。
雨露及び紫外線にさらされたケースは、汚れはさることながら、ケース表面が耐候劣化でボロボロになり、退色も激しい。
この劣化した部分が再生材に混入してしまうと、商品(再生材料)としての価値が著しく低下してしまう。
しかし、洗浄粉砕機で表面の汚れ・耐候劣化分を洗い落としながら(揉み洗い)粉砕する事で、この劣化部分をそぎ落とす事が出来、
再生材に混入する事は無く、物性を含め色調まで バージン材と殆ど同等品質の再生材を生産する事が出来る。
コーラ、ビール、乳業、酒造各メーカーのケースリサイクルを一手に引き受ける為に、全国展開が必要となり、
全国に自社工場を5箇所、協力工場8箇所を整備。
協力工場にもこの洗浄粉砕機を設備し、各エリアで同品質の再生原料を生産できる体制を強化。
上記コンテナリサイクルの実績を買われ、コンビニ用コンテナの全国リサイクルも弊社が請け負っている。
本コンテナは、コンビニ毎にコンテナの規格を統一し物流効率を上げ、又、不使用時にも景観を損ねない仕様になっている。
このプロジェクトが立ち上がった時、問題となったのが、既存コンテナの処理であった。
弊社の全国拠点でそれらを一斉に回収し、洗浄粉砕をして材料にした再生材を新規コンテナの材料として利用。
物流資材の一新に、廃棄処分と考えられていた既存のコンテナを100%活用し、高度なクローズド・リサイクルシステムで対応出来たのは、
弊社に全国ネットワークと洗浄粉砕装置が有ったからである。
ケースのリサイクルで全国展開を図った後、自動車工業会から バンパーリサイクルの要請があり、バンパーリサイクルの為に“塗膜除去装置”を開発。
この装置と洗浄粉砕機が高く評価され、全自動車メーカーのバンパーリサイクルを全国展開している。
自動車メーカーが各社独自に市場から集めた“市場回収バンパー”が弊社の各工場・拠点に搬入され、そこで“洗浄粉砕機”
と“塗膜除去装置”を使ってリサイクルを行っている。
回収バンパーから製造した再生材を100%使ってNewバンパーを生産する“バンパーtoバンパー”の技術を確立しているのは、弊社だけである。
また同商内では様々な用途に合わせたシートも生産している。一例を挙げれば、
自動車会社から排出されるフロアーカーペット端材をシートに混ぜ込み、強化シートを生産。そのシートを使い、
車載搭載品を成型し自動車メーカーに納入している。
工場から出る廃棄品を原料に使うことで、メーカーの“ゼロエミッション”に貢献すると共に、コスト競争力も持ち、
シート自体も高い物性を得る事が出来た。シート材のバインダー原料自体も、同自動車メーカー圏内の
コンテナ・パレットの再生材を使っており、リサイクル率の向上に一役 買っている。
1990年代に入り、大手商社から米国富士写真フィルムの使い捨てカメラの樹脂リサイクルに関して要請を受け、システムを開発。
米国富士写真は、海賊カメラの台頭に頭を痛めていた。
回収されたカメラから、フラッシュ機構を取り出す際、ハウジングの樹脂(ポリスチレン樹脂)もリサイクルし再活用したくも、
海賊メーカーによって塩ビの絶縁テープが貼られたカメラはリサイクルする事が難しく、外部業者に殆ど無償で排出していた。
正規のルートで回収したカメラも、使い捨てカメラ自体 様々な樹脂で構成されている為、一番必要とされるポリスチレンだけを取り出す事が困難であった。
カメラのフィルムは非常に繊細で、微量の異物(PSと異なる樹脂も含む)樹脂が混じっただけでも感光してしまう。
使い捨てカメラは、カメラの中でフィルムが裸で収められているため、使用出来るバージンの樹脂すら限られ、
リサイクル材を使用する事など考えられなかった。
弊社が開発した“分離装置”は、様々な樹脂からポリスチレンのみ100%分離・取り出しする事が出来、又、塩ビ等の異物も完全に除去出来る。
2001年にメキシコのティファナに一号機を設置・稼動し、現在では3号機が稼動している。
カメラ業界では考えられなかった、100%再生材での使い捨てカメラ製造の大きな一翼を担っている。
建築業界では、プラスチック製のコンクリートパネル・リサイクルに関する要請があり、システムを開発。
回収されたパネルには、コンクリートが付着し固まってしまっており、又、コンクリートパネルの機能上、
パネルに剛性を持たせる為 石粉が混入されているゆえ、本リサイクルは困難を極めた。
不要となるコンクリートを粉砕・除去しつつ、必要な樹脂をだけを取り出すと言う作業を一工程で行う本システムは、今までの分離技術を応用して完成させた。
家電リサイクルに関しては、日立造船が保有する静電分離装置と弊社が持つ各種比重分離技術を組み合わせた実証プラントを立ち上げた。
家電で使われている雑多な種類の樹脂を比重と摩擦帯電特性を利用して、抽出したい樹脂をほぼ100%の純度で取り出す事が可能となる。
弊社の特徴は、求めるリサイクル品に合わせて装置を開発し、その樹脂・市場にあった最適な独自プラントを立ち上げることが出来る点が挙げられる。
“リサイクル家が作ったリサイクル装置”である。
また、機械メーカーと大きく違う点は、プラントで生産されたリサイクル材を使用した商品開発・成型方法開発及び各種
アドバイスが出来る点が挙げられる。
家電リサイクルの実証プラント完成により、今後は家電リサイクルに関する共同研究・開発・量産請負・プラント販売を行って行く。
従来の“取り合えず粉砕し、冷やして固める”だけのリサイクルイメージを払拭し、
端材・廃棄材を混ぜたリサイクル材の機能を追及し、高付加価値製品への展開を図っている。
処理費がかかるリサイクル品がコスト競争力と機能を併せ持ち“息長く使用される商品”
となるべく、経済原則に則った材料展開・製品展開まで考えて研究・開発を行っている。
貴重な地上資源である廃プラスチック製品を、お客様の環境資産として有効に運用出来ることを念頭に行動をしている。